理事長所信

【温故知新~我々が今なすこと】

新しいことに挑戦するとき「歴史に学べ」とよく言われます。良い事例を積極的に受け容れ悪しき歴史が繰り返されることを防ぐことを表す言葉です。56年前に創立したこの岩国青年会議所は現在に至るまで、時代の先駆者として市民に積極的に影響を与え続け、時には青年の学び舎として多くの人材を育て輩出してきました。我々はその背中を追い、さらに時代にマッチした運動指針に則って運動を展開するべきです。そして、この運動は「明るい豊かな社会」の実現に至るまで引き継がれなければなりません。

 現在、青年会議所は全国的に会員減少という問題を抱えています。この岩国青年会議所では以前100名を超す会員が在籍していましたが、現在では約50名の会員で運営しています。日本青年会議所の会員数も1993年の約67,300名をピークに現在では約38,200名(2010年8月)であり、全盛期の半数に迫る情況に陥っています。このような歴史的経緯を鑑みると、青年会議所の存続に危機感を感じ、問題意識をもって対処しなければなりません。これは、バトンを引き継いだ我々の責務です。会員の減少という問題には現在の経済情況など様々な要因が考えられますが、この地域にとって青年会議所が存在し続ける必要があるか…と問われると私は存在し続けることに大いなる意味があると答えるでしょう。それは諸先輩方が残してこられた青年会議所の歴史を顧みると明白です。
 青年会議所の重要な存在意義のひとつに〝地域に暮らす市民に対してより良い影響を与え続ける〟ことが挙げられます。よって青年会議所に所属する会員は、地域を牽引するに相応しい人間力と説得力の備わった使命感が必要です。そして、青年会議所にはその必要性に応じたトレーニングがはじめから備わっています。このトレーニングこそ他の団体にはない青年会議所の大きな特色であり、国や地域を牽引する人材を輩出し続けた要因です。青年会議所は青年たちの〝学び舎〟として重要な役割を果たしてきたのです。特に岩国青年会議所では、地域の〝学び舎〟として独自の研修プログラムを作成し、さらに日本青年会議所の研修プログラムの作成にも大いに影響力を与え、率先して人材育成に力を注いできた歴史があります。こんな混沌とした時代だからこそ〝学び舎〟としての機能を今一度見直し、さらに高めることが必要になっているのではないでしょうか。
 我々が青年会議所の運動を進めるうえで会員という同志の存在は大きな推進力となり、〝学び舎〟として機能を果たすことはより大きな影響力を持つことに繋がります。我々の先輩たちが創り上げてきた歴史を受け継ぎ、岩国青年会議所が未来に向けてすべての可能性を閉ざさぬよう次世代に繋げるために全力を尽くそう…我々はいつの時代も現状打破できる集団であり、時代に先駆けた集団であり続けなければなりません。

【アクティブシチズンの創造~公共心の溢れる自立した地域の創造を目指して】

My fellow Americans ask not what your country can do for You-Ask what you can do for your country.
My fellow citizens of the world ask not/ what America will do for you, but what together we can do/ for the freedom of man.
わが同胞のアメリカ人よ、あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがあなたの国家のために何ができるかを問おうではないか。わが同胞の世界の市民よ、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、われわれと共に人類の自由のために何ができるかを問おうではないか。
J.F ケネディ 大統領就任演説 1961年1月20日(抜粋)

これは第35代ジョン・F・ケネディアメリカ合衆国大統領の就任演説の一部で、市民は「アクティブ シチズン」(ACTIVE CITIZEN)でなければならないと国民に訴えた部分です。「アクティブ シチズン」とは、直訳すると「積極的な市民」ということで、最近では、環境や地域貢献活動を積極的におこなう人を指す言葉として用いられることも多いようです。私はこの「アクティブ シチズン」を〝公共心が溢れ自立した市民〟と定義付けし、多くの市民にこの精神が行き渡ることが我々の最終目標でもある「明るい豊かな社会」実現への近道であると考えています。
現在、我々が生活する社会では、毎日のように政治不信をあおるようなニュースが飛び込んできます。そんな報道に触れる度に、私たちの国はいったいどこへ向かっているのだろう?と心の不安は募る一方です。募った不安は批判へと形を変え、批判はさらに人々を先の見えない不安定な社会をつくり出す。そんな悪循環へと陥っているように感じます。日本人はいつから国家や他人を批判することで、満足感を感じるようになったのだろう。そんな満足感からいったい何が生まれるのだろうか。
この悪循環を断つためには、国家や他人の批判をやめ自分自身の心の持ち方を変えることです。自分が描く豊かな社会のために、そして自分の愛する家族のために自分はどれだけ役にたつだろうか?そして何ができるだろうか?と考えてみることです。そのように考えれば少なくとも先が見え目標が持てる…そして社会全体が変わるはずです。社会に対して自分がどれだけ役に立つか考えることは公共心を芽生えさせ、公共心を持った人は自己の行動に対して責任を持たなければなりません。責任を持ち行動するには、他人からの押し付けではない自分自身の価値観に基づいた判断が必要になります。そんな判断をくだすことができる人たちこそ「アクティブ シチズン」と呼ぶに相応しく、そんな人たちの輪が広がることで、その地域は自立した地域として成長することになるのです。
「アクティブ シチズン」の精神はJC運動にも合致します。「アクティブ シチズン」の存在は私たちがJC運動をおこなう場合においてもより深く、より即効性をもって浸透する一助になるのではないでしょうか。そしてこの運動は限りなく大きな運動へと発展する可能性を秘めています。大きな可能性を見据え、悪循環を断ち切り「アクティブ シチズン」で溢れた社会を創造するために今こそ立ち上がるときです。

【崩壊した教育環境へのアプローチ】

 親が子どもを殺める、子どもが親を殺める…近年そんなニュースを数多く聞くようになりました。いつから、そしてなぜこのような悲劇が繰り返されるようになったのでしょう。原因はさまざまな要因がリンクしていて断定できるものではありませんが、親が親になりきれていないことがひとつの大きな要因であることは間違いないでしょう。

イギリスでは、「子育て命令法」という法律があります。〝子育てをしない人は、1000ポンドの罰金〟というものです。滞納した場合は禁固刑です。そして子供が更生するまでの間に、約1年間、親のための講習があるのです。親が親として育つことを義務づけているのです。フランスやアメリカにも同じような法律があり、親が子どもを自立させることは、欧米では義務とみなされています。そして親が親になるための講習が存在し、そこで学び、同時に同じ世代の親とのコミュニティを築き、共に子育てを進めていくのです。法律や講習によって子育てが画一化することがあってはなりませんが、子育ての根底となる精神や親の責任を意識付ける意味においては、家庭教育の指針は必要ではないでしょうか。我が国においても明治以降「教育勅語」を大きな柱にした情操教育がしっかりと根付いていました。情操教育によって日本の伝統的道徳観が養われ、家庭教育の基盤となっていました。 しかし、個人主義の蔓延したこの世の中で、日本の伝統的道徳観は忘れ去られてしまいました。情操教育という家庭教育の基盤が失われた今、時として躾というものが親の一時的な感情や都合で歪められ、家庭内の虐待や親自身への自己嫌悪に繋がることもあります。私はこの悲劇をくい止めるためには、日本人の統一した価値観として情操教育を復活させることしかないと考えています。情操教育によって他人を思いやる利他の精神や自らを律する心が育てば、世の中が変わるのではないでしょうか。
家庭教育はそれぞれの家庭でおこなわれるものであり、我々若者が口出しをするものではないと言われるかもしれません。教育環境も国家として議論することで、我々の運動には限界があるでしょう。しかし、「明るい豊かな社会」を目指すときに、この子どもを取り巻く最悪な環境を見過ごすことはできません。 我々は使命感をもってこの難題に立ち向かい、世の中に一石を投じよう…次世代を担う宝が輝きを失わないように…。  

【真の公益を追求しよう】

2011年度、岩国青年会議所は公益法人制度改革を受け、公益社団法人か一般社団法人への移行を決断する年度となりました。また、公益・一般のどちらを選択するにせよ2013年度までには移行手続きをおこなうことになります。本年は移行の準備年度として、あくまで法的に公益社団法人として認められる団体であるか否かを独自で検証しなければなりません。
しかし、これまでの岩国青年会議所の事業がすべて「明るい豊かな社会」の実現のためにおこなってきたことを考えると、我々が公益に寄与してきた団体であることに疑いの余地はありません。この変革を進めるにあたり、法律に従うあまりかえって公益性を後退させたり、岩国青年会議所の特色である人材育成や会員相互の交流が疎かになってはならないと考えています。この機会を利用し、もう一度我々の運動自体を見つめ直し、さらに良い方向付けをおこなうことこそ青年会議所としてなすべきことです。さらに会員個々が真の公益を深く追求することでこの岩国青年会議所の発展に繋がり、JC運動を通して実践することで地域により大きな影響を与えることに繋がるでしょう。

【山口ブロック球技大会開催について】

 岩国青年会議所は、2011年度山口ブロック球技大会を開催することになりました。岩国で開催されるのは8年ぶりになります。前回の開催では、前夜祭から野球大会を通して参加者より非常に高い評価をいただきました。球技大会自体は懇親の意味合いが強い事業ですが、この評価を伝統として受け継ぎ、山口ブロック内の多くの同志の情報交換の場として、また我々の愛する岩国地域の魅力を発信する場としてしっかりと役割を果たすことができるように企画を進めたいと考えています。

【我々の可能性】

 我々Jayceeには〝若さ〟という可能性があります。さまざまなことを吸収し成長できる〝若さ〟失敗を恐れず挑戦できる〝若さ〟…我々が自身で限界をつくり、成長する気持ちを失えば、その可能性は閉ざされます。
我々はこの〝若さ〟という特色を活かし、常に前進し続けなければなりません。

〝若さ〟を活かして吸収し自己を成長させよう!
限界をつくらず挑戦し続けよう!
そして輝く時代を我々の手で彩ろう!

 

私は2011年度第56代理事長を務めさせていただくにあたり、岩国青年会議所が未来に向かって地域の〝学び舎〟として、〝市民〟を導くリーダーの集団として存在し続けるように、Jayceeらしく英知と勇気と情熱をもって挑戦し続ける所存です。

岩国青年会議所の歴史

昨年創立55周年を迎えた岩国青年会議所の、歴代理事長の紹介・活動紹介です。

歴代理事長の紹介
岩国JC55年史

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